おおむね何もやりたくない

twitterで書くのもどうかと思ったことを書くはず

ISIŞとイスラム教と動物倫理とヴィーガンと規範を内面化することについて

ISISとイスラム教と移民と

 自分がここ10年ほどで最も衝撃を受け、興味を惹かれたニュースはISIS(イスラム国)の出現だったと思う。

 自分や自分の所属する社会が共有している道徳や規範(それは平等主義だったり人権思想だったり民主主義だったり自由主義だったり)とはまったく違う規範を持った集団がいて、暴力をもって自分達の規範に挑戦して来ているということが強烈だった。一時期は自分にしては随分と熱心にニュースやそれに対する反応を追っていたと思う。

 そんな中で、ISISに対する反応の一部に強烈な違和感を感じていた。「彼らは本当のイスラム教徒ではない。キリスト教徒や仏教徒のように我々と共存できる良き隣人だ」みたいな内容だ。まあちょっと考えただけでバカな発言ではある。一般的な日本人の常識レベルの知識でも、キリスト教や仏教の教えの中に今の私たちの価値観から見ると到底容認できないような差別的な主張や表現があることは知っている。それを字義通り受け取って行動する人たちが原理主義者と呼ばれていることも知っている。キリスト教徒や仏教徒の多くは世俗道徳に反する教義を主張していないので、私たちは彼らと問題なく付き合うことができる。それは彼らが”本物”の教徒で原理主義者たちが”偽物”の教徒であるわけではない。解釈が違うのであり、ただ世俗道徳を尊重する教徒が多数派なだけだ。同じようにイスラム教徒だけ本物だの偽物だのと言うこと自体がナンセンスである。もちろん世俗的なイスラム教徒自身がISISと一緒にされないための自己防衛のため主張した側面はあるだろうし、それは理解できるのだけど。*1

とはいえ、じゃあ”一般的”で”多数派”なイスラム教徒はどんな規範を持っているのだろう。キリスト教徒や仏教徒のように、教義よりも世俗道徳を重視しているのか、それとも原理主義により近く、宗教的な規範を維持しているのか、そんな疑問を強く思った。道路上で礼拝する大量のイスラム教徒の写真なんかを見かける限り、彼らが西欧的な世俗道徳に取り込まれているようにはとても見えなかった。

 池内恵中田考の著作を読んでみてわかったのは、多くのイスラム教徒たちはISISほど極端ではないにせよ宗教的な規範を強く維持していて、自由主義や平等主義や人権思想に反する考え方を持っているということだ。世俗道徳に骨抜きにされた宗教とは比べ物にならないほど、イスラム教の教えはイスラム世界に対して強い影響力を持っている。(もちろん世俗道徳に親和的なムスリムが多数いることは否定しない)自分はイスラム社会の専門家でもないし、彼らの発言を鵜呑みにしてると言われればそれまでなのだけど、立場が大きく異なる2人が揃って同じ主張をしていることや、現実に起こっている移民問題などを見ていても説得力があるように感じている。*2

規範の大きく違う人間同士が共存することは難しく、様々な問題を生む。移民を受け入れたEU諸国は多様性のもとにイスラム教徒の価値観を尊重し、それは自由や平等を尊重する規範意識をもつ国民に大きな反感を植え付ける。とはいっても共存できない価値観が衝突したら取れる選択肢は同化と排除以外にないわけで。もちろん多くの人は好んで排除なんかしたくないので、彼らが同化することを期待する。自分もそうやって移民の人たちが我々の世俗道徳に同化することを期待していたわけだけど、現実はそんなことは全くなくて未だに移民と原住民の対立はニュースになり続けている。

 自分は強い信仰と、内面化された規範を近いものだと考えている。私たちは合理的な場面ですら嘘をつくことに罪悪感を覚えるし、暴走したトロッコを止めて5人の乗客を救うために1人の太った人間を犠牲にすることを直感的に間違っていると考える。例えば自分は、敬語なんてなくなってしまえば良いと考えているにもかかわらず、見ず知らずの相手に敬語を使われないと瞬間的に不快感を感じてしまう。一度内面化された規範意識は私たちを強固にしばり、それを用いることが非合理的な場面ですらその規範に従ってしまう。

同じように強い信仰は、それに対して後天的にどれほど疑義を抱こうと、その信仰がどれだけ自分に不利益になろうと、簡単に振り切れないものであるのだろうと考えている。内面化された規範に歯向かうと不愉快なように、信仰に背くと不愉快になるんだろう。そして人間は直感的な感情に主導権を握られていて、理性はその奴隷として動いてしまう。*3

どれだけ多様性を尊重したとしても、自由や平等を否定する価値観を私たちの世界に持ち込むことは許容できないわけで、信仰であり内面化された規範を説得して変更させるしかないわけだとは思うのだけど、それはとんでもなく難しくて遅々とした作業なんだろう。そしてその実態は身も蓋もないパワーゲームになるしかないと思っていて、自由や平等を尊重することで幸福になるように仕向けて、世俗倫理に反する宗教的な教えに従うことで不快になる社会を作っていくことになるのだろう。あまりにも身もふたもなさすぎて多様性ってなんだっけみたいな絶望的な気持ちになるのだけど、とにもかくにもそれ以外の解決はないんだろうなと考えている。

 

動物倫理とヴィーガンと肉を食べるのをやめられないだろうということ

 動物倫理とは動物の権利についての倫理である。ざっくり説明すると、動物(あるいは苦痛を感じる能力を持つ存在)は人間と同様の配慮を受けるべきである。他の存在と比較して人間を特別扱いし、特権的な扱いを行う根拠はなく、それは種差別的な発想であって、功利主義に基づき是正されるべきである、という考えから生まれた倫理だ。ピーター・シンガーが著書で主張して広まった。

自分はシンガーの書籍すらちゃんと読んだことがなくて、それを紹介するサイト経由でこの動物倫理に触れている初学者未満の人間なので詳細は割愛します。というかその能力はないです。ちゃんと知りたい人は以下のサイトを見るといいと思います。(何よりシンガーの著書を読むのが一番いいのだろうけど俺もまだ読んでないので・・・・・・)

pyrabital.hatenablog.com

davitrice.hatenadiary.jp

 いろいろ考えてみた結論として、シンガーらが主張している動物の権利についての考え方は、自分にとって非常に説得力がある。シンガーらが主張するように、肉食をやめてヴィーガンとして生きることがより倫理的であると考えるし、種差別は是正されるべきであると考えている。もちろん動物倫理的な思考を実社会に落とし込もうとすると色々と考えなくちゃいけないだろうし、弊害もあるだろう。例えば経済的に恵まれている人間のほうがヴィーガニズムの実践は容易だろうし、それは裕福であること≒倫理的みたいな風潮を助長するのかもしれない。でも理念には賛同しているわけだし、問題があることはベターを目指さない理由にならない。やろうと思えば俺はヴィーガニズムを実践して肉を食べるのをやめることができるだろうし、どう考えてもそのほうが倫理的であると考えている。

 なのにそれなのに、俺は全く持って肉食をやめられる気がしない。なんでだろうとずっと考えていたのだけど、それは俺が「動物の権利」という規範を全くもって内面化できていないからなのだろう。理屈でどれだけ肉食を悪と考えたとしても、肉食に付随する罪悪感と肉食への欲求を天秤にかけると後者が圧倒的に勝ってしまう。そのうえ、自分が好意を抱いている人たちの多くは肉食をするし、その人たちは「あなたたちは肉食をする差別主義者だ」と言われたら不快に思うだろう。もちろん自分は好意を抱いている人たちに嫌われたくはない。端的にいって、肉食をやめることによって自分が幸せになれない。

もちろんこれは直近の話であって、将来的に変わってくるのだろうとは思う。代用肉や動物倫理的に問題のない培養肉の味や価格が現在の動物肉に近づくにつれて、これまで行われてきた肉食は非倫理的なものとして一般に非難されるようになると思っている。そうなれば自分も肉食をする理由がなくなって肉食をやめるのだろう。一度理屈として納得できた倫理は徐々にではあるけども内面化されていくという経験則があるので、もしかしたらテクノロジーの進歩を待たずとも10年、20年先には肉食をやめているのかもしれない。なんにせよ、時間がたてば自分の規範と行動が伴うのだろうと楽観視している。

でもこの考え方って経済合理性ゆえに奴隷制を支持するのと大差ない思考様式だよなーと思うのだけれども、そこまで考えても肉食をやめようと考えられないのがすごいなというか、規範化されてない倫理観のどうしようもない弱さみたいなのを考えてしまう。

 

 

ということで規範を内面化しないとどうにもなんなくてモヤモヤするよねという話を引き延ばすとこうなりました。でも自由意志だのなんだのを強烈に内面化している自分にとって他人の規範をどうこうするとかそういう話自体を強烈に忌避する気持ちもあり、人間はままならないなということで雑にまとめます。考えがまとまっていないしまとまる気がしない。

 

 

*1:それはそれとして、リベラルを名乗る知識人みたいな人たちの多くがこれを言ってたのには失望した。自分に都合の良い思想を”本物”ってことにして反する思想を”偽物”扱いって多様性について全然まじめに考えてないじゃん

*2:池内氏は世俗道徳を尊重する立場から世俗道徳に反するイスラム世界に対して批判的であり、中田氏は彼自身がイスラム教徒であって世俗道徳に対してイスラム教の立場から批判を行っている

*3:このあたりの考えはジョナサン・ハイトの象と象使いの話からです

メロンコリーそして終わりがあった裁判

裁判のこれまでの経緯はこちら

nanasinotaiko.hatenablog.comhttp://nanasinotaiko.hatenablog.com/entry/2018/01/28/060609

nanasinotaiko.hatenablog.com

どうもこんばんは、俺は音楽と本が大好きな文化的なバンドマンなので、こんな風にスマッシング・パンプキンズのレコードをもじって裁判にからめることができるんだ。クールでしょ。

それはさておき裁判ですが、最高裁には控訴されませんでした。本日弁護士に報酬を払ってきたので、これで一切合切が完璧に終わったという状態です。
1年と11か月かかった裁判でしたのでさすがに少し感慨深いものがあります。


終わったので裁判の感想を書きますと、まずは楽しかったというのが第一です。もともと理屈が大好きな上にそれをもって気に食わない相手を攻撃できるとくればこれはもう楽しいという他ありません。完全勝利だったしね。今回ばかりは国家権力万歳というやつですね。リバタリアンよりな人間でも裁判楽しんだって良いじゃない。
まじめな話、自分は相対主義に半身くらい突っ込んでる人間なので、「集団におけるとりあえずの合意」たる法律はかなり重く考えており、まあ社会貢献できたんじゃないかとは思ってます。ぶっちゃけ自分のいた会社よりブラックな会社は一山いくらってレベルであるとは思うのですが、草の根でぶん殴っていかないと社会よくなんないしね。会社に法律で殴りかかって徳を積んでいこう。

第二に、裁判に金も時間もかかるのは確かなんですが、法律上は意外と労働者有利だし企業そんなに強くないな、という実感を得られるので機会があればどんどん裁判やれば良いと思いました。一度やっておくと精神衛生に中々良いです。メンタルケアとしての裁判、やってこう。俺の場合はレアケースなので、一般的な裁判(残業代未払いとか)ならかかる費用も時間も俺のケースの半分くらいだと思います、

最後に、平気で悪質な嘘をぶっこける大人、意外と多いとの実感を得られ、あまりよくなかったです。某T社のS社長には顧問弁護士のあまりのアレっぷりにやや同情の念が湧き上がってきたりもしてるんですがね。相手方の弁護士が顧問弁護士だった時、こっちへの援護射撃しかしてなかったのは流石に可哀そうになったりもした。
とはいえS社長、決して馬鹿ではないと思ってる(心底軽蔑はしているものの、むしろ頭は良かったと思っている。頭が良くて悪質という最悪な存在だった)ので、俺に対して自信満々に「法的な問題はまったくない」と言い放った時も法的にアウトなのは理解してたんだろうなと思うし、完全にブラフだったと考えると人間こわいわーという感情がすこしあります。優れた能力を生かして倫理を顧みないのマジでやめてほしい。そのほか上司・役員等々については、典型的な社長のワンマン会社において歯向かうのが無理だったのは理解してますが、それはそれとしてムカつきはあるという感じですね。同情はしてます。

まあ、S社長のコンプライアンス意識の低さには全幅の信頼を持ってるので、他に法律で殴りかかる社員がいないと平気でこのままの規則でやってくだろうと思われ、鎌倉に本社がある某T社の現社員・元社員に置かれましてはガンガン法律で殴りかかっていただけると俺としてはうれしいです。判例があるし、証拠提供とか証人になるとかの協力はむしろやらせてくれという勢いなので、ぜひ声かけてください。過去に会社の返還命令でお金を支払ってしまった人も、請求したら結構な確率で取り戻せると思うのでぜひぜひ。労働審判とか簡易裁判なら自力でやってもすぐ終わるしね。心配なら今回頼んだ弁護士も紹介します。

ちなみに今回の裁判の事件番号を以下に書いときます。どっちも横浜地裁で閲覧できます。今回の判例は弁護士が判例雑誌に投稿するみたいなので、そのうちそっちで見れるかも。判例検索とかに乗るかもです。歴史に名を残してしまいそうだ。

第1審:横浜地方裁判所 平成28年(ワ)第1133号
第2審:東京高等裁判所 平成29年(ネ)第4018号

上記の呪文を唱えるとT社の関係者につきましては勝率が跳ね上がると思うのでぜひぜひ。それでは。

 

裁判のはなし~第2審、東京高裁激闘編~

裁判ですが、2審の結果が出たので記事を書きます。前回記事はこちら

nanasinotaiko.hatenablog.com

1.結果


完全勝利しました。2月頭までに控訴されなければ終わりです。控訴されると最高裁判所でラストバトルです。

 

2.1審判決との違い


勝ちました。終わり。ではさすがに味気ないので判決内容について少し書きます。

1審判決(地裁)と比べて2審判決(高裁)ではさらに俺よりの判決になってました。特に経理上の扱いについて会社側に突っ込みが入ったのが大きいかなと感じました。


経理上の扱いに突っ込みが入ったのは、今回の裁判が労働基準法16条違反か否か、というものだったことが原因です。まず労基法16条は「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」というもの。今回の裁判の争点は資格報奨金の返還が「労働契約の不履行による違約金」として扱われるかどうかでした。で、資格取得費用や研修費用関連で争ってる場合、判例から言うと以下のような扱いになるようです。

労働基準法16条違反になるパターン>
・問題となってる資格取得や研修が業務命令による場合
・費用の返還の目的が退職抑止みたいになっちゃってる場合
・会社に返還する金が「貸した」ものでない場合(会社が労働者に貸していた金を返してもらうという体なら法律的にはOKなので)

1審判決では上2つにあてはまるから16条違反ってニュアンスだったのが、2審判決は全部あてはまるから16条違反だよねってニュアンスになってました。1審後の会社の控訴理由が「報奨金という名目だけどあれは貸付金なんでセーフ」って主張だったので、「そうは言っても経理上は所得になってんじゃん。却下」って文言が追加された感じです。


3.判決文「裁判所の判断」のとこを一通り書いてみる


こちらの言い分しか採用されてなくて気分が良かったので、判決文の「裁判所の判断」の部分のとこだけラフに書きます。どんな証拠が有用かの参考にでもなれば。後ろにかっこ書きしてるのは引用元の証拠資料。


1.
(1)被告入社前に問題の資格について取得研修の受講と受験を義務化してたよね(弁論の内容)
(2)社員に作成させてる目標管理シートの内容だけど、資格取得を書くことが前提になってるよね。(目標管理シートの内容)
(3)目標管理シートをもとに給料とボーナス決めてるよね(部長からきたメール本文)
(4)「目標とした資格は必ず取得してください」と各従業員にメールしてるよね(部長からきたメール本文)
(5)就業規則に最近「業務関連技術の習得に努めなければならない」と文面追加してるよね(就業規則
(6)「案件受注のため問題の資格の取得を推奨するって内容を資格取得支援制度に書きました」って通達が人事部長から出てるよね(全社向けの社内通知)
(7)報奨金は所得として経理処理してるよね(弁論の内容)
(8)目標管理シート見る限り、資格取得にかかる比率が全体の5割とか3割とかになってるよね。被告が設定した比率を会社側が勝手に上げたりもしてるよね。(目標管理シートの内容と部長からきたメール)
(9)会社のHPに従業員の資格取得者数を書いてアピールしてるよね(会社のHP)

2.
(1)労基法16条は交渉力格差のある労働契約において、違約金によって労働者が拘束されるのを防止するための物です。
(2)資格取得支援金は受験料とか交通費とかの実費とは別に支給されてるものなので、貸付じゃなくて報奨として支給してるものだよね。一般的に、報奨金を支給する一方で一定期間の雇用継続を義務付けて、それに反して退職したら同額を返せっていうのは労働基準法16条違反になります。控訴理由で貸付金だからセーフって言ってるけど、そんな主張今までしてなかったよね。しかも「貸付金」じゃなくて「報奨金」や「支援金」として扱ってるし、所得として経理処理してるんだから採用できません。
(3)目標管理シートで資格取得が前提になってる上に比重が大きいし、それで給料決めてるよね。問題となってる資格も、会社がめっちゃ推奨してるものだし、HPでアピールしてるくらいなんだから明らかに業務関連性は高いよね。「資格取って5年以内にやめたから35万円返せ」ってのも、35万円の返納って退職を躊躇させるのに十分だし、それが5年にわたるってのは労働関係の不当拘束だよね。労働基準法16条違反なので控訴は棄却です。

 

 

ということでまた進捗があれば何か書きます。僕は裁判がアイデンティティオルタナバンドマン。

音楽レビューサイトの話

どうもこんばんは、あやちゃんです。裁判以外のことを書こうと考えたので書きます。実は俺、匿名希望ってオルタナバンドでドラムやってるんですよ。ほんとだよ。HPのリンク下に貼るからガンガン見てくれな。

tokumeikibou.tokyo

 

バンドマンっぽい記事というとやはり音楽の話なので、音楽レビューサイトの話を書こうかと思います。
皆さん、音楽の情報ってどうやって集めてるでしょうか。今ならYoutubeで関連動画を探したり、Applemusicとかspotifyをあさったりして気軽に大量の音源を視聴できるのでずいぶん楽になったなーと思います。
しかしyoutube以前はそうもいかなかった。北海道の片田舎に住む学生にとって、TVとかに露出している一部のミュージシャンを除けば試聴する機会なんて中々ない。そんな中で音楽をディグる手掛かりというと、基本的に文字情報です。いわゆる音楽レビューというやつです。例えばrockin'onとかの雑誌だったり、ライナーノーツだったり、お店においてるフリーペーパーだったり。
そんな中、自分が音楽をディグる手掛かりとしてぶっちぎりに参考にしていたのがインターネットの海に乱立していた音楽レビューサイトです。ブログとかSNSでもなく、個人サイトというやつです。俺の実家には2003年くらいからインターネット環境が整ったのですが、当時の俺は12歳くらい。ちょうどよく音楽に興味も出てきたころ合いだったのと、昔っから文字を読むのが大好きだったこともあり「音楽 レビュー」とか「音楽 ミスチル レビュー」(当時ミスチル好きだった)とかのワードをYahoo Japanに打ち込みまくり、異常な熱意で音楽レビューサイトを読み漁るという毎日を送っていました。音楽レビューサイトを読む⇒近所のゲオか古本屋(2005年くらいからゲオがTSUTAYAに変わった)で小遣いの許す限りCDを漁るという一連の流れが俺の10代の3割くらいを占めていると過言ではないです。そして当時全盛期を迎えつつあったモバゲーの日記とかにめっちゃ感想を書きまくってた。1週間でCD5~10枚分くらいは書いてた。おかげで当時の友達がほとんどいない。
今もなんですけど人の音楽レビュー読むの大好きなんですよ。特にポエミーなやつ。例えばworld’s end girlfriendの有名なAmazonレビュー、「世界の終わりを大好きな女の子と眺めている感じ。」から始まる奴。これです。

https://www.amazon.co.jp/review/R2X3EH2Q7LX543

こういうの大好きなんですよ。馬鹿にされがちだし、18世紀の詩人かよと突っ込みたくなる気持ちはわかるのですが、18世紀の詩人良いじゃないですか。文学ですよ、音楽レビュー文学。まじめな話、出来のいい音楽レビューポエムはいい感じにこちらの購買欲とか聴く際のエモなどを煽ってくれるので実用性もあると思うんですよね。だからこそロキノンは2万字インタビューとかやってるんだろうきっと。

さておきですね、当時参考にしていた音楽レビューサイトの数々には感謝しかないわけです。無かったら絶対バンドマンやってなかったし、もうちょっと友達も多くて社会的地位も高かったと思う。明るく爽やかなスポーツマンの父親とかになってたと思う。なのでここで感謝の意を込めて俺が特によく見てたサイトたちを紹介します。閉鎖してるとこもありますがアーカイブで大体見れるので気になった方はぜひ。

 

UK_STYLE

www.geocities.jp

まずは最も参考にしてた、というか今でも結構参考にしてる「UK_STYLE」。2008年にブログ形式に乗り換えたのですが、ブログもすぐ更新を停止してしまっていますRadiheadにはじまる90年代あたりのUKオルタナ勢とプログレ方面がとにかく強いサイトでした。60s,70sのバンドベスト10なんていう荒れそうかつキャッチーなコンテンツがあったりするのもグッドです。個人サイトらしく100の質問もあってバランスが良い。とにもかくにも最重要なのはレビューの質なわけですが、文学少年のハートをがっちりつかむポエミーな表現力に加え、音の具体的な解説だったり周辺事情まで詳しいすんばらしい書きっぷりなんです。わかりやすくS~Eのランク付けしてくれているのも痒いところに手が届いていて嬉しい。あまりにも影響を受けすぎているので俺の音楽の好みを知ってる人はこのサイトをみたら結構笑えると思います。多分8割くらいはこのサイトの影響で好みが固まった気がする。ディグる参考という意味では特にプログレ方面がいいですね。例としてPFMの「Photos Of Ghosts」レビューからの引用。

まず一曲目「River Of Life」が珠玉の名曲。バロック調のアコースティックなイントロから始まり、フルート、キーボード、チェンバロ、ベースと徐々に楽器が加わっていき、高まりきらないうちに突如悲劇的なブレイク。その瞬間的な音圧と切れ込むヴァイオリンのあまりに素晴らしい旋律には敬服。まだボーカルの第一声も入りきらない開始二分でKO確実。クラシカルな旋律の美しさに惹かれっぱなしのメロディーパート、中間部の軽やかなフルートとギターの競演を経て、再びメロディーパートへ。メロトロンの奏でるラストパートは、圧倒的なドラマとダイナミックさに表現する言葉すらみつからない。頭のてっぺんからつま先まで全てが完璧で感動的なシンフォニー。イタリアのみならずプログレッシヴロックを代表する名曲中の名曲である。

これですよ無料でこの詳細なレビューが読めるわけですよ。音の中身をかなり具体的に書いてくれてるので試聴環境のない中学生にとってはこれほどありがたいものもなかった。あとポエム方面だとELLIOTT SMITHのレビューが最高です。レビューしてるアルバムの内容を全部通して読むと今でもグッとくる。「XO」レビュー冒頭の

誰かに恋をする。時にその人の他には何もいらないとまで感じるほどに愛することがある。俺は今まさにそれなんだ。

とか凄いキュンキュンしますね。俺のELLIOTT SMITH好きはこのレビューポエムでかなりブーストがかかってる気がする。「Roman Candle」から「From A Basement On The Hill」までぜひ通して読んでほしい。18世紀の詩人みたいなレビューはほんとスゲーんだよ。ここの管理人のパンジーさんがミスチル大好き人間じゃなかったら、俺はここまで音楽好きになってなかった気がするのでいわゆる恩人ってやつですね。パンジーさん、万が一にでも見てたら、口座番号教えてください。1万円くらい振り込んどきます。あと末期の頃にBBSに生息していたなれなれしい中学生の片割れが俺です、ごめんなさい。

 

ROCK WITH ROCK

http://www.geocities.jp/patapata0511/

「ROCK WITH ROCK」。ここも最終更新が2008年で悲しい。ちなみに紹介するレビューサイトは大体「UK_STYLE」のリンクから飛べます。昔の個人サイトにはリンク集ってのが付き物だったんでな。このサイトも90Sオルタナが強めなのですが、「UK_STYLE」よりはメジャーよりな印象。ロキノンから少しまる音スーパーでラックスに寄ったというかなんというか。日本勢のオリコン常連みたいなミュージシャンも書いててくれてるのが助かった記憶があります。ここのレビューを読んでライムスターとかEMINEMをゲオでめっちゃ借りたのは温かみのあふれる記憶です。ミクスチャー以外のラップミュージックを少しは聞くきっかけになったのでとても感謝している。あと高校時代にNINE INCH NAILSにドはまりしたのもここの影響だった記憶。淡泊なレビューを書いていたようなイメージがあったのですが、今読むと思い入れのあるミュージシャンのレビューはポエムポイントが上がってとても好感が持てる(アートとか)。いやまあ、誰だってそうなるとは思うけど

 

Chaos In Music

http://www.k2.dion.ne.jp/~cim/top.html
(閉鎖)

「Chaos In Music」。残念ながら閉鎖してます。70、80年代あたりの有名どころブルースロック勢が強かった印象のサイト。だったんですがあらためて見るとサニーデイ、ミッシェル、ゆら帝あたりはここ見てレンタルしたなーとか思い出しました。意外とロキノンで紹介されてそうなバンド多かった。アーティスト別レビューの情報量はそこまでなのですが、白眉なのは「Masterpiece」というコンテンツ。年代ごとにロック中心の代表的なアルバムをこれでもかと紹介していてとても助かる。これのおかげで親世代のロック好きと話すのにだいぶ困らなくなってる気がするので俺のささやかなコミュニケーション能力に一役買ってくれているとてもありがたいサイトでした。

 

MIXED BAG

mixed-bag.net(音楽レビューのコンテンツは消滅してる模様)

「MIXED BAG」。今は音楽コンテンツが消えて完全に古着屋のサイトになっちゃってるみたいです。ここの特徴は圧倒的なレビュー数。ポエム要素は無いものの簡潔でわかりやすいレビューを膨大なアルバムに対して書きまくってる。ほんとメジャーどこからそこそこマニアックなとこまで広範囲のジャンルにわたって膨大なんですよレビュー量。ポストロックとかエレクトロニカ寄りの音楽は大体ここを参考にしてた記憶があります。中学生のころはこの人よりたくさん音楽を聴いてやる!みたいな対抗意識を抱いていたような気もするけど未だにこんなには音楽聞いてないなーという気がしてちょっと悔しい。今読んでも参考になるし、これだけの情報の宝庫がネットの闇に葬られるのはもったいないんで騙されたと思ってアーカイブを見てみてください。

 

 EMMO TAKENAWA(音猫シティ)

 http://www.geocities.jp/otonekocity/index2.html 
「EMMO TAKENAWA」(昔は「音猫シティ」でした)。レビューはここです。http://www.geocities.jp/otonekocity/whitesnake_artist.html 最終更新が2014年で、サイトもまだ存続してます。ここの特徴は管理人の方自身がバンドマンという点。自身が対バンしたバンドのレビューなんかもちょこちょこ書いてたりしてて面白い。個人的にはナンバーガールを聞くきっかけになったサイトという点で思い出深いです。あとあぶらだことかkamomekamomeとか巨人ゆえにデカイとか。アングラ感というか、悪そうな雰囲気がプンプン漂ってて好きなサイトでした。レビュー数も多いしジャンルレスでいろいろ聞いてるのに好き嫌いがはっきり書いててとても良い。ポエムはないけどエモがある。

 

COMIC&MUSIC

http://www13.plala.or.jp/comic-music/music.htm

「COMIC&MUSIC」。最終更新は2006年っぽいです。「音楽 ミスチル レビュー 深海」とかで検索してこのサイトがひっかかったのが俺の音楽レビューサイト行脚の始まりです。ここのリンクに「UK STYLE」があったのが元凶。ほかに紹介してるサイトとはだいぶ毛色が違って、90年代JPOPとHR/HMがメインのレビュー対象なサイトです。オリコンのマンスリーチャート感想が読み物として大好きだった。MY BEST Japanese song30とかもザ・個人サイトって感じがあって最高だと思います。チャットもあるぞ!

 

WISH YOU WERE HERE

http://infoseekmirror.web.fc2.com/junn7.at.infoseek.co.jp/wishyou.htm

「WISH YOU WERE HERE」。最終更新は2006年。ピンクフロイドのアルバムまんまなサイト名からわかる通りプログレに強いサイトでした。個人的にはそこまで参考にしてたサイトじゃ無いのですが、上で書いた「UK_STYLE」がここの影響を受けてるということもあり書かねばならぬかなと。一応ボアダムスはここのサイトの影響で聞き始めたような。有名だったので他にもここのサイトを参考にしてた人、結構いるんじゃないでしょうか。何を隠そう、今回の記事を書くきっかけになったサイトでもあります。unsnuffさん(http://www.unsnuff.com/)というtwitter以外はイケてるソロミュージシャンがいるのですが、半年前くらいに彼のやってるバンドCITRUS NOWHERE(http://citrusnowhere.wixsite.com/citrusnowhere)を匿名希望の企画ライブに呼んだ際、打ち上げでこのサイトの話題が出てとても懐かしくなるというドラマティックなイベントがあり、それ以来音楽レビューサイトのことをそのうち書きてーなーとモヤモヤしていた結果がこの記事になります。

 

おまけ

ちなみにそのunsnuffさんがこの間書いてた「2017年個人的ベストアルバム20」がとてもイケてたのでついでにリンク張っときます。

http://unsnuff.hatenadiary.jp/entry/2017/12/30/204831

イケてる音楽レビュー記事なのですが、ブログです。個人サイト全盛の時代はとうに過ぎ去ってしまった。まあHTML書くのクソだるいもんね。俺も絶対やりたくない。ブログ万歳。文明は進歩してる。ちなみに冒頭で貼った我がバンド、匿名希望のサイトはリーダーのゲーカーナトゥミお手製なのですがめっちゃ凝ってるので見てね。よくこんなクソめんどくさそうなサイト作ったなといつ見ても思う。では。

裁判の経緯をあれそれと書く

初めましてあやちゃんです。私はバンドマンで、これは初めて書く記事なので裁判の話を書きます。

名誉棄損で訴えられたくないので会社名はぼかしてます。知りたい人は直接聞いてくれたら教えます。

1.どんな裁判をしているかと現在の状況をざっくり

 前職の会社(IT系で大手Sier相手に人売りビジネスやってるタイプの中小企業)を退職した際に、在職中にもらった資格報奨金(35万円分)の返還要求を拒否したため、35万円を支払えと訴えられています。

 裁判の進捗をざっくり書くと、以下のような感じです

1審:簡易裁判所で開始(2016年の3月)⇒地方裁判所に変更⇒原告の請求棄却により勝訴(2017年8月)⇒控訴される

2審:第一回口頭弁論(2017年10月)で結審して判決待ち(2018年1月)。

 

2.裁判に至るまでの経緯

 「○○に至るまでの経緯」って字面は創作作品のタイトルっぽさがあり、かつ面白くなさそう、ということでとても良いとは思いませんか。

さておき入社から裁判に至るまでの経緯を説明します。

 

入社してから退職届を出すまで

 前職の会社にはネットワークエンジニアとして新卒で入社しました。就業規則の説明で、総務部長に「うちの会社、労組作るの禁止だから」と言われて入社1週間もたたずにいつ辞めるか考え始めたのはとても懐かしい記憶です。

 

この労組云々の話でわかるように、この会社はわりとコンプライアンスがガバガバで、

・休日に強制参加の社内イベントをやる(業務扱いにならない)

・エンジニア勢の業務形態はほぼ全員偽装請負(グレーなとこもあったがほぼ真っ黒。これは会社というか業界の問題もあるけど)

・安めの案件に配属された社員に、残業代を出さない(俺はやられたことないけど先輩がやられてた)

就業規則に書いてる出張手当が出ない

・なぜか休日にジムに行くことを義務付けられる(人事評価の対象なのでいかないと評価が下がる。もちろん給料は出ない。)

・業務命令として、業務外時間での資格取得を強制する。人事評価の3割~6割くらいを資格取得にされるので、取らなかった場合は給料がモリッと下がる。(他の評価が普通くらいだと1~2万くらいは下げるというメールが部長から投げられていた)

・資格を取れなかった社員に対し、休日出勤させて強制的に勉強させる。給料は出ない。(俺はやられたことないけど同期がやられてた)

 

などのあれやそれやがありました。自分は社長のお気に入りだったので被害は軽微な方だったんですが(中小にしては給与もそんな悪くなかった)、軽微だからといって泣き寝入りする気もなかったので、最後の1年くらいは上司、部長連、社長あたりにたいしてこれこれは違法だからやめろと噛みつくライフスタイルを送っていました。やめる気だったのもあるし、裁判するのも金かかるので言って止めてくれるならそれでいいかなと。

それで社長から頂いた言葉は、「うちがやることは全て顧問弁護士に目を通してもらっており、完全に合法。嫌なら辞めてもらうしかない」だったのでやめて裁判することにしました。エモですね。

上で訴えられたと書いてるのになぜ、と思った方いると思うのですが、もともとはこっちから訴訟するつもりだったんです。なので証拠集めをゴリゴリとやったのち(就業規則・メール・日報・面談の録音等々)、退職届を出しました。元会社は非常に脇が甘かったので、法律的にアウトっぽい書類やメールは大量にあり、証拠集めには苦労しなかったです。多すぎて後日弁護士に引かれました。

退職届を出したあと

退職届を出したということで、ここで絶賛裁判中の資格報奨金の話が出てきます。資格報奨金とは読んで字のごとく資格をとった際に報奨としてもらえるお金なのですが、「資格取得後、5年以内にやめた場合は全額会社に返還する」という就業規則があったのが問題です。この時俺がもらってた報奨金が総額で35万円。会社からはこれを返せと言われたのですが、

 

・金を返す以前にそもそも業務命令で資格取らせておいて、資格取るのに使った時間に給料発生してないのおかしくない?

・上の文句を社長に言ったら「報奨金が給料の代わりって面がある」とか言ってたのに金返すのは輪をかけておかしくない?

・5年以内にやめたら金を返す制度、実質違約金だし労働基準法16条違反じゃない?

 

と考えていたこともあり、支払いを拒否しまして、その前に色々と貰うもん貰ってないんだけど訴えるよ?というお話を会社と開始しました。もちろん会社側が折れるはずもなく、あとは法廷でやりましょうという話になりました。(本当に言われた。テンションがとても上がった)このタイミングで、払うもん払えという請求を会社に内容証明で送り付けたのですが、払わねーよバーカという内容証明が返ってきました。

このお話の中で会社の顧問弁護士と面談したのですが、「請求するならあなたじゃなくて身元保証人になってる○○さん(俺の叔父)にするよ?あなたのせいで迷惑がかかるねー」と言われたのは未だに根に持っています。身元保証人の有効期間はデフォルト3年、指定すれば最長5年なんですが、元会社は前者で、かつすでに入社から3年経過していたこともあり身元保証人の有効期間切れてたんですよね。印象深い心温まるエピソードです。フィクションに出てくる邪悪な弁護士みたいなのマジで存在することがわかり人生経験を積めた。

が、それにプラスして報奨金の返還に従わないのは就業規則違反だからってことで俺のことを懲戒してきました。懲戒とはいっても始末書を書くだけなんですが、こちらとしては反省することなんてないのが問題です。

その話を持ち出してきた総務課長に「始末書って言われても反省することがないので、こちらの言い分書くだけになりますよ?」と聞いたところ「なんでもいいので最終出社日までに出してくれ」と言われました。そこでですね、自分自身とてもエモくなっていたこともあり脳からパンクスピリットがむくむくと湧き出てしまいました。

何をしたかというと、「この会社の規則のうち、○○と○○は法律に反している。社長、○○部長、○○部長は○月○日にこう言ってたがこれも労基法違反である。○○と○○も業務命令って言ってんだから給料を払え。俺を懲戒する前に会社がコンプラをちゃんとやれ」みたいな長文を始末書という体裁で書いて、最終日に全社員に送りつけました。自己顕示欲が物凄く満たされるのでみなさんもやってみると幸せになれると思います。当然会社側はブチ切れまして、退職のための社内処理が終わった後に、総務部長・総務課長・人事部長に4時間詰められるというイベントが発生したりはしたのですが、それはさておき2016年の1月をもって退職となりました。

 

退職後、裁判開始まで

会社を辞めた、さあ訴訟だ!と行きたかったのですが、請求するつもりの額も少額だったので、転職した会社で有給が発生する同年の8月まで待ってからやるつもりだったんですね。弁護士に頼まず自力で労働審判(超簡易版の裁判みたいなもの)をやるつもりでどうしても平日に会社を休む必要があったので。

そしたらですよ、3月の頭くらい(多分)に元会社からの訴状が届いちゃったわけなんですよ。正直なところ、35万円程度で訴えてはこないだろととタカをくくってたので焦りました。最終日に出したエモメールが悪かったのか、俺を後追いして会社とけんかする人が出てくるのを防ぎたかったのかは謎です。エモか利得か、知りたい。S社長、もし見たら教えて。

この時点で金銭欲・正義感:会社へのムカつきが1:1:8くらいの比率になってまして、とにかく完全勝利して嫌がらせしようということで弁護士に依頼することにしました。こちらからの反訴は金がかかりすぎる&万が一にも裁判官の心象を悪くしたくないのでやめました。

頼んだ法律事務所がここです。http://www.hoshihara-lawoffice.jp/

選んだ基準としては、

 

・家に近い

・安い

・専門の中に労働問題がある

 

あたりです。元々準備万端だったこともあり、法律論と手続きさえやってくれれば良いやくらいの安易な気持ちで選びました。

これまでお願いした感想としてはこんな少額の裁判に2年近く付き合わせて申し訳ないくらいにちゃんとやってもらってます。IT系が専門じゃないのでそこはこちらで添削したりするのですが、もともと織り込み済みだったので文句は全くありません。参考までに今回の裁判でかかってる弁護士費用を書いときます。(案件によって多少のぶれはあるものの、概ね同じとのことです)

 

・1審の着手金:約10万円

・2審の着手金:約15万円

・成功報酬(終わったら払う):勝ち取った金額の16%(今回完全勝訴なら35万円の16%で56000円)

 

ちなみに3審までいくと↓が追加されると聞いてます。

・3審着手金:10万円(口頭弁論がある場合は20万円)

 

安いとはいえ、すでに316000円以上の支払いは確定してるわけですね。さらに証拠の録音データを入れてたHDDがクラッシュしたのを直すために14万ほど追加でつかってるため、45万円ほどが裁判費用としてかかってます(しかも録音データなしで裁判には勝てそうという体たらく)。35万円はすでに超えていますね。つまりこの裁判はエモです。

 

裁判(1審)

話を戻しまして、弁護士を雇い裁判が始まりました。争点は「資格の取得が本当に業務命令で行われたか」になりました。業務命令だと問答無用で労基法16条違反というお話です。そのために資格取得と人事評価の相間の強さだの、資格と業務の関連性だのをうだうだとやりました。

弁護士いわく1審は平均して8~14か月くらいで終わることが多いそうなのですが、1審がおわるまで17か月かかりました。長いですね。プログレですね。なぜ長引いたかというと、

 

簡易裁判所地方裁判所にランクアップしたこと(ランクアップに1,2か月ほどかかった)

・法解釈が割とテクニカルな裁判であること。

・相手方弁護士が途中で変わったこと

・俺自身の被害は限定的だったため、戦闘力が相対的に低かったこと(休日勉強やらされてた同期とかならもっと楽勝だったと思うと弁護士が言ってた)

 

あたりが原因かなと思います。とはいえ原告側の請求が完全に棄却され、1審は勝訴しました。口頭弁論すらなかった圧勝だったので、一度も地方裁判所に足を踏み入れることなく終わりました。悲しかったです。お疲れ様でした。とおもったら控訴されました。

 

裁判(2審)

控訴されてから2か月ほどたったのち、東京高裁で第一回の口頭弁論がありました。一回で結審しました。また裁判所には行けませんでした。結審から判決までの間が2か月ほどあり、2018年の1月中旬に判決となります。つまり今は判決待ちです。

 

3.まとめ

ということでこれが経緯になります。裁判の詳細が知りたいとたまに聞かれることがあった&個人的にもどっかでまとめときたかったのでこれを書きました。何より俺はオルタナティブなバンドマンなのでね。やっぱり裁判の話しないとさ、ほら。

これを読んだ皆さんもエモを高め、ふるって裁判をやっていくと幸福になると思います。

裁判ブログにする気はないですが、証拠集めのやり方とかどんな証拠が強かったとかのテクニカルな話は需要があれば書きます。無くても書くかもしれません。なんにせよ、判決が出たらまたなんか書きます。